薬師寺東塔の水煙の透かし彫りの中で
横笛を吹いている飛天
これは、地上で見られるそのレプリカ。
福永武彦に『飛天』という評論があります。
高校時代に国語の教科書に載っていました。
今は、載ってないみたい。
時は過ぎ行くから私たちは一種の幻想を用いないでは
昔のことを考えることは出来ない。
私たちは当時の人々がどのように琴を弾き、
どのように琵琶を掻き鳴らしたかを、また音楽を聞くことで
どのような畏怖と憧憬と愉悦とを感じていたかを、知らない。
況や飛天が手にしている横笛から如何なる調べが流れていたか、
知るよしもない。
即ち私がその時考えたものは、そして今も考えるのは、
雲間に奏されていた笛の音は何処へ消えたかということである。
(福永武彦『飛天』)
posted by SPIKA at 15:40|
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風